心地よい暖かさに包まれる
中村順二美術館 千葉県東葛飾郡沼南町大津ヶ丘1-41-5
JR柏駅よりバスで15分、徒歩1分
04-7106-7272
http://www.junjimuseum.com
休館日木曜日
開館時間 10:00~18:00
入館料 無料

中村順二美術館への歩き方
①JR柏駅東口ダブルデッキ中央、スカイプラザ前のバス乗り場5番から
②阪東バス『大津ヶ丘団地、東我孫子車庫行き』で約15分
③『大津ヶ丘1丁目』下車 (乗車賃¥220)
④⑤16号線沿い、柏方面へ2,3軒戻ったところだ。
・休日は柏駅のバス停が変わるので注意
・バスは平日、土、日とも5本/時はある
・P:あり

《愛があふれている》
初めて中に入ったとき、そう思った。
白とベージュを基調とし、
明るい日差しが入る館内。
併設のカフェからは
ケーキを焼くいい香りが・・・。
そして「汚れなき感性」と称された順二さんの
個性的な色彩と優しさあふれる作品。
設計家探しから数えて完成まで約3年。
「順二ならこうしただろうと思う」(母 宮子さん)
という美術館が出来た。
2000年12月開館。
家族のみならず、知人、友人も建築に加わった。
内部の調度品も地元作家のものだ。
まるで動き出しそうな4本足のベンチは
建築の際に切った庭のモチノキで作られたそう。
ご近所さんが花を生けてくれる。植えてくれる。
みんなの気持ちで支えられている。


1971年12月31日に
取手市で生を受けた中村順二さんは
ダウン症による知的障害があった。
500点以上の心優しい作品を残し
1995年11月27歳で亡くなっている。


ダウン症といっても症状は人様々。
言葉の少なかった順治さんを
「何とか子供たちの中に入れて育てたい」
という宮子さんの思いが
順二さんを絵画教室に入れるきっかけだったと言う。
また、「子のこの学校は旅でした。」と話されるように
小さい頃からご両親は順二さんを毎年旅に連れて行った。
友達にも、地域の人々にも愛されて、
伸び伸びと育った順二さん。
中学卒業後、家事手伝いをしながら次々と絵を描き始めた。
三輪自転車にスケッチブックを積んで
一人でスケッチに出かける。

「でも、私も仕事をしていたし、
何を描いているか関心も持たなかった。
床に描き散らかしているのを
ふんづけちゃったりしてね。」と
母宮子さんは微笑む。
「障害を持っていると思ったことはない。
頼りがいのある、男気のある子でしたね。」
と、作品を見ながら順ちゃんの想い出は尽きない。


上段左・・・『花嫁』
上段右・・・『お雛様』  母宮子さんのリクエストに答えて描いた
      唯一の作品
下段左・・・『虫』
下段中・・・愛用の道具と作品集
下段右・・・絵葉書
「描きたいものを描きたい様に描いて旅立ってしまった」と話す宮子さん。
でも、その順二さんの幸せが、訪れる私たちをも幸せな気持ちにしてくれる。
今後は地元作家の企画展も随時行っていきたいとのこと。
沼南町は柏市との合併が予定されている。
今後、新たな文化発信地として順ちゃんの暖かさはきっと広がっていくことだろう。
上左:初の企画展 森かずお写真展
上中:写真家の森 かずおさん
上右:カフェも展示スペースに
下 :森さんの作品
上左:ゆっくり過ごしてもらおうということで、
   兄の卓司さんが運営するカフェも併設 
上中:カフェ内部
上右:土曜日3時からはピアノのミニ・コンサートも
下左:手作りケーキ。
   クロワッサンのサンドウィッチなど軽食もある。
   食器にも順ちゃんの絵が。
下中:地元作家の作品コーナー。(販売もしている)
下右:障害のあるお子さんを持ったお父さん手作りの三輪車
   オブジェとしても可愛い。