2001.4

〈柏でなくっちゃ!〉と言われたい!

by=上野さくら

私は、しがないフリーライター。
4人の息子の子育てに追われ、10数年。一念発起の末、ようやく手にした(?)記者稼業だが、経歴なし、特技なし、某出版社所属等という看板もない。おまけに若さも美貌も失った(?)ナイナイづくしのおばちゃんライターである。

現在は主に東葛エリアの情報紙やPR紙で記事を書いているが、時折取材で東京や他県に出かけることもある。そんなとき苦心するのは、ノーブランドの私の仕事を相手にどう説明するかということだ。

初対面の人と短時間でうち解け、先方から伺いたい話を引き出すことは、なかなか難しい。前回書いた“息子のぼやき”じゃないけれど、「柏から来ました」とか「千葉県の東葛エリアをカバーする情報紙の記者です」などと言ってもピンとこない人も多く、のっけから話が弾まないこともしばしば・・・。

@ 柏そごう地下食料品売り場の「かしわ工房」コーナー
熱心なファンも多く、あれこれと買い求め、
家族で品評会を楽しむお客さんも・・・。
「お気に入りの商品を箱詰めして、進物用にお買い求めに
なる方も多いですよ」と売り場責任者の竹本さん。

そんなとき、私に強力な“助っ人”が現れた!
そごう地下食品売り場の一角に並んでいる「かしわ工房」たちだ。
羊羹や焼き菓子、スパゲッティ、ウインナーや梅干しなど、柏市内の商店や製造業の
皆さんがつくる商品で、1年半ほど前、市商工課が音頭をとり、市民のアイディアをもとに地元でとれる野菜を使い、柏の名産品を作ろうと開発された。市内の異なる分野の職人さんたちが腕をふるって作り上げた、知る人ぞ知る、新しい形の“かしわブランド”である。

当時、私は新商品開発のエピソードを伺いに何社か取材に歩いたが、実際に話を聞いてびっくり!関係者の新しい“柏ブランド”によせる思いは、想像以上に熱いものが
あった。

たとえば、「にんじんのケーキ」樹杏さん(花野井)は、ニンジン独特の臭いを消しながら、柔らかなオレンジ色をいかして、ニンジン嫌いの子どもたちにも喜んで食べてもらえるよう、甘さや形、スポンジの食感、パッケージにまでこだわり、何度も試作品を作っていた。

生麺のうまさで業界では定評のあるスパゲッティ製造業のニューオオクボさん(増尾)は、ホウレン草の風味や栄養を生かすため、市販の乾燥フレークを使うことなく、地元でとれたホウレン草をペースト状に加工。伝統的な製法で練り上げた生地に混ぜ込み、時間をかけて低温熟成。オートメーションではまねのできない、うまみの生きた「ホウレン草のパスタ」(干麺)を開発した。

A おいしい顔の「かしわ工房」たち
 作り手の思いが込められた商品、ひとつずつ
手にとって味わってみたい。


正直言って、これらの商品も店頭に並んでしまえば、見た目は他の市販品とそう変わ
らない。けれど、「柏の皆さんに愛されるような、いい商品を作りたい!」との思いを込めて試作する職人さんたちの姿を思い浮かべると、どの商品もいとおしくなるから不思議だ。

それらのエピソードを添え、取材先に「かしわ工房」の詰め合わせを差し上げると、ことのほか喜ばれ、話も弾む。
「そうですか。柏の人たちも頑張っているんですね〜」と笑顔で応えていただくと、自分がほめれているような気がして、ちょっとうれしい。そして、大きな後ろ盾のない私を「かしわ工房」のでっかい看板が応援してくれているようで、なんだかとっても心強い。

考えてみれば、柏って「地元の名産品です」っていえる名産品、今までなかったよね〜。
帰省の時や友人宅への手みやげも全国どこでも買える有名メーカーの菓子だったりして、「なんか、つまんないな〜」って、ずうっと思っていた。

柏に住んでいるからこそ、〈柏自慢〉をたくさん、たくさん、作りたい。
「かしわ工房」にももっと多くの商店や会社が参加し、遊び心と優れた技を生かし、私たちがあっと驚く新商品を続々と誕生させて欲しい。

そして、〈レイソルの本拠地・柏〉〈ストリートミュージシャンが集う若者の街・柏〉なんていう街のイメージをどんどん膨らませて、商業や文化、環境や福祉の分野でも、「やっぱり、柏でなくっちゃ!」と言われる街になったら・・・、楽しいよね、きっと!

2001年5月20日)。
ストリートブレイカーズが再び、始動。
今度は、東口の歩行者天国に特設ステージを設け、市民参加型のストリートファッションコンテストの開催だ。
音楽だけじゃなく、ファッションも「やっぱ、柏でしょ!」と言われる街をめざして、この春、新たなイベントでブレイクする〈かしわ〉。乞う、ご期待!!

B 「かしわ工房」ロゴマーク
  まあるいニンジン?のなかに、くるくる巻き「K」の文字、カワイイね!