去る5月20日(日)、柏駅東口駅前の歩行者天国に、長さ30bを越えるロングステージが出現。大勢の観客の熱い視線が注がれるなか、思い思いのファッションに身を包んだ若者たちがはにかんだ笑顔をのぞかせながら、自慢のスタイルを披露して歩いた。
        
         この日、柏で初めての市民企画・市民参加による新しい形のファッションショー「STREET COLLECTION '01 KASHIWA」が開催された。(主催=柏市、柏商工会議所、柏駅周辺イメージアップ推進協議会、企画・運営=ストリートブレイカーズ)
        
         会場となったハウディモール(=柏駅東口駅前通り商店街)には、早朝から続々とスタッフが集結。放置自転車の移動やDJブース、ステージの設営など、忙しく立ち回る。その数、なんと100人!男も女も、老い(?)も若きも取り混ぜて、午後1時からのショー開始に向けて、黙々と準備に取り組んでいた。
        
          
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               たくさんの観客でにぎわうステージ 
              (控え室からステージを望む)  | 
          
        
         ことの起こりは、昨年秋。
         ストリートブレイカーズの全体会議で、突然「STREET COLLECTION '01 KASHIWA」構想が浮上した。柏駅周辺を闊歩する一般の若者たちをモデルに登用し、柏のストリートシーンに似合う個性光るスタイルを提案し、新しいファッション文化を全国に発信していこうという、壮大な計画だ。
        
         正直言って、初めてこの話を聞いたとき、「エー、そんなことできるわけないじゃん」と、唖然ボーゼン。「市民が主役のファッションショー」っていうけれど、柏にはコレといって特徴的なスタイルなど、何もないんじゃないのかなぁ。いったい、どの年代層をターゲットに、どうやってモデル集めをするわけ? 果たして、市民の皆さんに楽しんでもらえるようなステージ演出など、できるんだろうか? ちょっと無
        謀、いや、かなり危険な計画だよ、コレは・・・。
        
         しかし、しかし、である。
         そんな不安や心配は、全く無用だった。またしても、ストブレのメンバーたちは思惑通り、このとんでもないイベントを成功させてしまったのだ。
        
         モデルとして登場してくださったのは、市民及び柏を愛する若者の皆さん、総勢70人。自ら応募してくださった方や駅周辺でのスカウト作戦でみごとひっかかって(?)下さった方など、個性豊かな面々が集まった。
        
         事前のリハーサルではプロの指導によるウオーキングに汗を流し、当日はヘアメイクスタッフのマジックで、みずみずしく変身。そばであわただしく働くスタッフたちも、その変身ぶりに思わず目を見張るほど・・・。
        
          
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               プロのスタイリストにメークしてもらう、市民モデルさん。 
              いつもの私とは違う〈魅力〉を、発見できたかな?  | 
          
        
         そして、本番のステージでまた、びっくり! それまでのソワソワした雰囲気はどこ吹く風、どうしてどうして、皆さん堂々たるもの。ウオーキングのスタイルもビシッと決まり、観客席に笑顔を振りまくほどの余裕を見せるモデルさんもいて、スタッフの不安や緊張を大いに吹き飛ばしてくれた。
        
         一方、今回の企画に快く賛同して下さった協賛店の皆さんの力は計り知れない。
         この無謀とも思われる新企画を実現させるために、貴重な時間をさいて準備にあたり、有給休暇をとって当日参加してくださったスタッフの方もいたとのこと。また、ステージができたことで店前の通路が狭くなり、大音量のBGMが流れるなか、文句ひとつ言わずおつきあい下さった地元商店の方々には頭の下がる思いがする。
        
         そして、もうひとつ。忘れてならないのが、観客の皆さんの存在だ。
         初めての舞台で緊張していたモデルさんたちが笑顔でステージをつとめられたのも、温かい拍手とまなざしで見守ってくださった方々がいたからこそ。3時間もの間、最初から最後まで立ちっぱなしで応援してくださった人たちがいたからこそ、こんなにも華やかで楽しいステージを作り上げることができたのだと思う。
        
          
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               ファッションデザイナーの水野晃侍さん。 
              21世紀、世界のファッションシーンで最もブレイクすると期待されている、 
              新進気鋭のデザイナーだ。  | 
          
        
        
         審査員の1人、史上最年少でこの秋東京コレクションに参加する新進気鋭のデザイナー・水野晃侍(こうじ)さんは、今回のファッションショーをこう評価する。
        
        「柏のまちに実際に来てみて、ものすごくイメージが変わりました。なんていうのかな、まち全体が明るい感じがするんですね。狭いスポットなのに、いろんなジャンルの子がいて、すごくおもしろい。自分の色どりを持っているというか、個性を着こなしに生かしている、光って見える。ファッションの分野でも〈柏らしさ〉を発信していく、そんな芽があると感じています。」
        
         また、審査員長でマーケティングコンサルタントとして活躍中の西川りゅうじんさんは、「流行のファッションに翻弄されない、自由な重ね着やリメイクで彩られたスタイル。ブランド物をさりげなくアイテムに取り入れ、自分らしく着こなすセンス。これこそが、柏らしさ、柏スタイルであると感じました。皆さんにとって〈柏の街こそが、ステージ〉。自己表現としての大事な手段、音楽やファッションを通し、様々な情報を発信していってほしいと思います」と、話した。
        
         今回のイベントで見えてきたこと。
         それは、見えないところで多くの人たちが縁の下の力持ちとなって支えあったということ。〈もっと面白いまち・かしわ〉を作ろうと、みんながひとつになって今日の日のステージを作り上げたということ。・・・これこそが、このまちの魅力であり、活力なのだと思う。
        
         時々刻々と変化し続けるまち〈かしわ〉。
         明日の〈かしわ〉を彩るのは、このまちに住む〈私たち自身〉なのである。