第1回コマーシャルコンテスト 「かしわ発見」

(記)庭野すみれ


 庭野すみれの なんでもウォッチング  

  第1回コマーシャルコンテスト「かしわ発見」          30秒の勝負に挑んだ12作品

 不景気風がゴーゴーと吹きまくるこのご時世に、賞金100万円も出すというのだから、い ったいどんな作品に出会えるのかしらと、興味しんしんで、審査会場となるアミュゼ柏に足を 運んだ。定年後の映像マニアや、孫を被写体にして楽しむお爺ちゃん、お婆ちゃんの姿をイメ ージしていた私は、のっけからびっくり。会場は若い人ばかりだった。

 応募条件がプロ・アマを問わないとあれば、趣味の域を越えた熾烈な闘いになるのは当然か もしれない。審査員も、おなじみの西川りゅうじん委員長はじめ、(株)電通の原耕造、(株 )博報堂の家田利一、(株)太陽企画の柳瀬三郎、(株)千葉テレビ放送の福島昭司と、そう そうたる各氏。

特別賞「沼をきれいにしま賞」を石戸さんより

 この企画には、.柏市内の50あまりの協賛企業が名を連ねているが、賞金100万円を捻出 するために、本多市長や柏レイソルの明神選手を登場させてプロモーションビデオをつくるな ど、並々ならない苦労があったようだ。

 今回は49本の応募のなかから、最終選考に残った12本が披露され、1作ごとに審査員 の批評が加えられた。まず30秒と聞いて、「そんな無茶な」と思った。しかし、それは浅は かな素人の感覚。実際見てみると、たしかにアッという間だけれど、作り手の思いがしっかり 盛り込まれており、新時代のエネルギーを感じさせるに充分だった。

  第1回の栄えあるグランプリに輝いたのは、男女4人のグループ <ミクロ・フィッチ> の「柏がいいね」という作品。柏の住人になって10年の新聞配達のおじさんが、いずれ郷里 の福島に帰ろうと思ってたけど、やっぱり柏がいいねとつぶやく。

 とてもシンプルな作品で、ちょっと意外な気もしたが、審査員からは「素直に拾ってきた言 葉で、原点に戻ることの素晴らしさを感じさせる作品」との感想が述べられた。盛り込みすぎ て焦点がぽけたり、技巧に走らなかった点が、かえって好感をよんだのだと納得。

  準グランプリには斎藤浩一さんの「音楽が溢れる街〜柏」という作品が選ばれた。雨のなか をやってきた駆け出しの女性ストリートミュージシャン。不安そうな彼女の前に一人の聞き手 が現れ、思わずニツコリ。柏ならではの、なんだか胸が熱くなるような作品だった。

西川りゅうじんさんの評を受けるグランプリ受賞者たち

  そのほかに2作が特別賞に選ばれ、そのうちの1作”不思議で賞”は「2001年柏の旅 」に与えられた。可愛いロボットが、柏という惑星にたどりついたという設定で、軽快なマー チに乗って手際よく街が紹介され、爽やかだった。作った男女4人のグループ名がなんとも変 わっていて、<別にお風呂はきらいじゃないのよ>だそうな。ロボットは紙粘土でつくったと かで、その素朴さもよかった。

 もう一作の「ポートの男」は、コミカルに柏を応援して”沼をきれいにしま賞”を受賞。 「心の汚いおれは、日本一汚い手賀沼で死ぬしかない」と、男がボートから飛び込もうとする が、「こんな汚い沼でも、きれいにしようと頑張っている人たちがいるのだから、お前も頑張 れ」とさとされ、死ぬのを思いとどまる。しかし「自殺の理由は?」と聞かれ「お前の彼女と 浮気した」と告白したため、ガーンと打ちのめされるという落ちがつく。

  見終った瞬間、場内のあちこちから笑いが起こった。ビジュアル的にはいまひとつかもしれ ないが、異色作でインパクトがあった.これはいけると思ったので、休憩時間に彼らに直撃イ ンタビューを試みた。作ったのは法政大学の広告研究会の3人。「人が使わないネタをと思っ て手賀沼にしたけど、柏の人に怒られないかと心配です」と、神妙だった。特別賞おめでとう。

  第1部のゲスト・馬場ひろみさんのライブが終わると、司会者から「雅子さまにお子様がお 生まれになりました」との報告があって、会場から「ほ一」という安堵の声がもれた。受賞者 も関係者も、いろんな意味で忘れがたい1日になったにちがいない。

 このイベントの主催は柏市、商工会議所、柏駅周辺イメージアップ推進協議会で、企画・運 営は、ストリート・プレイカーズが当たった。会場では、赤いベレーのガーデイアンエンジェ ルスの協力もあった。アトラクションとして、ゲストの馬場ひろみさんとLOOPのライブも 行われ、盛りあがった。

本多市長より100万円を受け取る受賞者

  このところの柏ときたら、若者たちに音楽空間を提供したり、ファッションショーをやった り、ついには柏を宣伝するための映像コンテストまでやってしまうのだから、すごい!次々 とおもしろい企画を立案する関係者に、すみれからもエールと拍手。