2006.11.10 


<庭野すみれの なんでもウオッチング>
ARTLINE Kashiwa 2006 
<さあ、爆発だ みんなでアートを楽しもう!>

(記)庭野すみれ

900号の巨大キャンバスに挑むライブペインティング

「芸術は爆発だ!」と言ったのは、かの岡本太郎だが、11月3日、文化の日、柏ではアートを主体とした一大イベントがスタートした。この夏、常磐沿線のイメージアップと活性化をはかるため、上野から取手までの8つの自治体が手を結んで、「JOBANアートライン協議会」が結成された。
ARTLINE Kasiwa 2006 は、その取り組みのひとつである。
 


11月いっぱい、盛りだくさんのイベントが予定されているが、まず3日から26日まで、柏駅東口ダブルデッキで900号の巨大キャンバスに芸大生ら8人が挑む。初日は、一般公募の若者20人と、市民10人も30号のキャンバスに挑んだ。





沖縄出身で世田谷から参加した和宇慶(わうけ)龍さんは、「どこまでも蒼い沖縄の空も好きだけど、柏の淡い空色も好きです」と言いながら、キャンバスいっぱいにひまわりを描き、花の芯に人間の基となる美しい細胞を描きこんだ。





市民参加の高瀬久美子さんは、キャンバスに切り込みを入れ、裏から美しい着物地をのぞかせるというおもしろい手法をとってみせた。「ふだん絵を描いたことなかったけど、こんな私でもいのかなと応募してみました」と、楽しんでいた。





芸大生・岡本瑛里さんは犬の姿を借りてメッセージを盛り込もうと試みたが、3時間という制約のなかで消しては描きの格闘を続けた。単なる可愛い犬の絵と思って見ていた街の人は、その異形にとまどいながらも、非凡な筆力に吸い寄せられてみていた。



巨大キャンバスには、サル、キリン、パンダ、ウサギ、鳥などが次々と描かれ、地球上の共生を謳っているように感じられた。




アーティストたちがキャンバスに向かうなか、「re MONAIZATION」のみなさんの軽快なジャズ演奏が流れ、多くの市民が同時に音も楽しんだ。





「柏って保守的だと思っていたけど、いいねえ、こんなイベント、おれ、うれしいよ」と上機嫌のおじさんが、絵をのぞいて回ってはうれしそうにつぶやいていた。
我孫子から来たという主婦たちは「いまの若い人たちは批判されること多いけど、この人たちステキだね」と、好意的に見ていた。






イベントの一環として、こうじギャラリーでは松戸市在住の経歴を持つ、東京芸大助教授の吉村誠司氏の作品も特別公開された。静謐さと華やぎのなかに、ほのかな気品が漂う絵の数々に多くの市民が魅せられた。



アートラインプロジェクトには、ボランティアを含め、50人あまりの実行委員が募集段階の4月から活動を始めた。スタッフの一人で30号のキャンバスに挑んだ寺尾公美さんは、「自分のなかにたまった気分を吐き出すつもりで描きました」と、話してくれた。
これから、シンポジウム、公演、路上パフォーマンスと、さまざまなイベントが続く。はたして、どんな爆発がみられるか。柏に、巨大キャンバスに注目だ。


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